SSブログ

「玉川徹の そもそも総研 原発・電力編」 [書物]

玉川徹著(講談社)

以前に、「玉川徹のちょっと待った総研」をご紹介しましたが、玉川氏は、テレビ朝日のディレクターで、朝の情報番組にて、日本という国の変革のため、テレビ界のタブー、自らの身の安全を顧みず、精力的取材によって、私たちに、疑問を投げかけ、隠された真実、を伝え続けています。

こちらのサイトで、私も、今回の震災をきっかけとする、原子力発電と電力会社の傲慢さと権力について、書かせていただいております。
多くの日本人が、このことに気づきはじめてはいますが、しかし、実はそれほど重大なこととは思っていない、或いは、そのような思いを持つことや行動を起こすことが、面倒だとか、自分の為にならないとか、バカバカしい、大人でない、みっともない、といったような気持ちで、いかにも冷静であるかのように振舞っている人々もいることでしょう。
マスコミ、記者たちも同様です。

もちろん、思想の違いがあり、また、恩恵を受けているなど、原発賛成の人もいるでしょうし、権力側につく人もいるでしょう。

玉川氏も、取材を通して、様々感じるところがあったようですが、けれども、その意志の強さと極めて冷静な態度と洞察力から、比較的スムーズに、彼の思いは健全な表現の場を得ているようです。

震災当時のマスコミの慌しさ。
そして、原発がさらなる爆発を起こすかもしれないと知った、当初1週間の玉川氏の葛藤。首都圏の人々に逃げるように伝えるべきかどうか、報道側としては、政治や東電が身を守るために考えた隠蔽とは別に、咄嗟にパニックを予想して躊躇してしまうのは、人間として頷けるところです。
そもそも、スリーマイルやチェルノブイリの事故の周知がありながら、今の今まで、こういった事態にはどうするべきかということが、国として決まっていなかったこと自体が、なんとも哀れであり、お粗末なのですが。

玉川氏は、先日経産省を退官した(させられた)古賀茂明氏や原発に反対し続けてきたがためにいまだ教授になれない小出裕章京大助教らとともに、原子力発電、政治と電力会社が、これまでに「やってきたこと」を、はっきりと教えてくれています。

私は、こちらのサイトでも、この電力会社の仕組みを思い切って変革することができたならば、日本の社会の仕組みは、ガラガラと変わっていくでしょう、と、訴えかけてきました。

この書物には、まさに、そのことが書かれています。
強欲、欲得、優越主義、守銭奴、の縮図です。

「終わりに」で、玉川氏は、力強く訴えます。
『福島第一原発は原子炉爆発の可能性もあったのですよ。現在まで爆発がなかったのは単なる幸運にすぎません。もし運悪く爆発していれば、首都圏どころか東日本全体が人の住めない土地になったのです。そうなれば、未来に対する選択肢はすべて奪われ、電気料金や経済成長どころではなかったのです。その事実の重みをあなたは見過ごせるのですか』(P182)
『日本は、原発・地震以外にもうひとつの危機が迫っています。財政破綻の危機です。今、この財政を立て直すために、増税が検討されています。(中略)北欧の「高負担」と、日本が目指す「増税」はまったく違うものです』(P183)
『電力改革が成功すれば、その成功体験によってすべての時代遅れの規制は解かれていくのではないか』(P185)

上記2つについて、私があえて言いたいのは、権力者たちのウソにだまされてはいけない、ということです。あれほどの未曾有の事故、大変なときに、原発がなければ電気が止まるよ、という脅しと言ってもいいようなことで、瞬時に手際よく身を守ろうとした人々が、電力会社にも政治家にもいた、さらにマスコミにも学者にもいた、ということです。玉川氏が言うように、予想される不運なことが起きていたら、住むところもなくなり、命も危うい、将来もない、そんな状況でも、ばかばかしい身の守り方をするのでしょうか、彼らは。
するのでしょう。いち早く逃げる、という手段で。現実に、菅前総理は、どうにもならないと言って、逃げようとする電力会社の人々を目撃しているということです。

増税は、野田総理のもとで、復興という名目でなされようとしています。そのあとに、社会保障改革も含めたさらなる増税が待っているようです。
ここで、玉川氏が言っているのは、北欧などの高い税金は、それこそ社会保障で、国民に帰ってきます。医療や教育が無料だったり、失業者への手当てがあつかったり、もちろん老後の生活は保障されています。が、日本の場合は、絞り取られた血税は、そのほとんどが、国の借金を返すために使われることとなるでしょう。プラス、公務員の生活を守るために。
このままの体制、仕組み、ですと、たとえば、消費税が25%になっても、今までどおり、保険などの社会保障税は取られ続け、教育も医療も無料になることはありません。なぜなら、彼ら(権力者たち)の心のなかに、支配欲があるからです。富裕層たちには、優越欲があるからです。
彼らの言っている、税と社会保障の一体改革というのは、今の状態で尚且つ保険や年金などに当てるお金が足りないから増税します、という話です。根本的な改革が必要であるにもかかわらず。そういうときだけ、ヨーロッパの消費税は日本よりずっと高いのだ、と一面的な都合のよい使い方をします。
先進後進国とは言い得て妙です。
おとなしすぎる国民が、こういったおばかな政治家を選び、育ててきました。そして自民党が狡猾な官僚、強欲な企業を育ててきました。
それでいいのだ、と言う国民もいることは、残念なことです。
私たちは、勉強し、よく目を見開いて、社会を、人を、見ていく必要があります。

「後世につけを回さないために」という大義名分にもだまされないようにしましょう。
これも、今まで多くの政治家たちが言ってきましたが、どうも誠実さにかける言葉です。
後世に残すべきでない負の遺産は、今の社会の仕組み、です。こちらのほうが大事です。仕組みの改革が行なわれれば、自ずと、金銭的な問題も解決するでしょう。
どのような言い方をすれば国民が納得するか、を考えて、政治家と官僚は頭を捻っているのでしょう。納得するか、ではなく、騙せるか、言う事を聞くか、です。

本当に大切なことなら、騙す必要も、隠す必要もないはずです。

今、アメリカ、ヨーロッパで、デモが行なわれています。
良い傾向です。マイケル・ムーア監督もエールを送っているようです。
何も叫ばない日本は、このままですと、出遅れます。
日本は、すでに、他の国々でしたら暴動が起きている、そのような国、社会の状態なのです。ここでは、我慢は美徳ではありません。

既得権益、財産、地位を守ろうとする人々と、社会の仕組みを変えようとするピュアな魂の人々との間で、今、衝突が起きています。
ニュートラルになるとき、そこには、穏健がある、とともに、アセンションのプロセスが見え隠れしています。
人々の心が変容していく、そのことが、あらゆる解決を生み出します。本当はとっても簡単なことなのです。
姑息な手段はやめましょう。
正直に生きましょう。

次の宇宙的ステップに進むための、ネガポジの衝突。
ネガティブからポジティブが生まれ出る瞬間であることを祈ります。
それは、人々、私たちの思い次第、です。

日本人は、まず、無関心を止めて、しっかりと健全な自己主張をするべきです。
学び、考え、権力者の言いなりになってはいけません。
むしろ、政治家や官僚は、国民がその本当の立場を取り戻して、彼らを使いこなしていきましょう。私たちは、彼らにお給料を支払って、雇っているのですから。
そして、本物のリーダーと思われる人物が登場してきた時には、その人を応援しましょう。誰でも彼でも足を引っ張ることは、マスコミと既得権益者の悪しき行動様式です。

改革には、
『もれなく強硬な抵抗がついてきます』(P184)

ひるまずに、個人的にも社会的にも、前進、上昇していきましょう。
まずは欲がなくなれば、地球人、みんなにとって、幸福な社会、それは実現可能なのです。

玉川氏の書物にて、学びの第一歩としてください。

コメント(2) 
共通テーマ:学問

コメント 2

keikomama

こんにちは。
以前のブログから、サリーさんのファンです!

そうですね。
今の政府の対応や隠蔽は、外国だったら暴動が起きてもおかしくない事態です。
日本人の美徳といってしまえばそれまでですが、あまりにもおとなしすぎます。


ただ、今、声を上げ行動を起こしている人達、少なくとも意識が変わった人達と、震災前から意識が変わらず、憤りも感じず、物にあふれかえる便利な生活を省みない人達との間で世界の分化が起きているような気がしてならないのです。

バシャールの言うパラレルワールドになっていくのでしょうか。

震災→原発事故は、何を教えようとしているのか。
地震、津波は大惨事ですが、それによって起きた原発事故に大きな意味があると思うのです。

原発事故は、実に様々な問題を提起しています。
エネルギーの問題、政府と大企業との癒着、利権、マスコミの嘘、子供の未来、地球汚染、食品の安全性…健全な社会と大切な命を守ることを考えるためのすべてを含んでいます。

「いいかげん気付けよ」とばかり、宇宙がこの事故を仕組んだと言っては、言いすぎかもしれませんが。

根が深く未来永劫抱えていかなければならないカルマのようなもの。だからこそ、ここで真剣に考え、私たちは目覚めなければならない。

ひたすら経済成長を追い求め、幸せの原点からどんどん遠ざかっていった私たちが、この事故でガツンとやられました。

ハッとして目覚めるかどうか。

私たちが気付き変わらなければ、この事故の引き金であった震災で亡くなられた方々も浮かばれません。

>人々の心が変容していく、そのことが、あらゆる解決を生み出します。本当はとっても簡単なことなのです。

その通りですね。一人一人が変われば世界が変わる。
マイケルは教えてくれました。

玉川さん、古賀さん、小出先生のように、真実を伝える人達がたくさん出てきて、真実を知ることが変わるきっかけになればと思います。
私たちも闇から目をそむけないで、しっかり見ようとしなければ。

これからポジティブな地球に住むのか、ネガティブな地球に住むのか、一人一人の意識の変容と選択にかかっているのですね。

サリーさん、これからも、どんどん発信してください。
応援しています!



by keikomama (2011-10-11 03:13) 

サリー

keikomamaさん、こんにちは。
コメント、ありがとうございます。
お返事が遅くなり、すみませんでした。

また、応援のお言葉、ありがとうございます。賛同者がいてくださること、大変励みになります。

まさに、keikomamaさんのおっしゃる通り!です。

この震災、原発事故は、本当に本当に、私たち日本人にとって大きなチャンスです。
しかし、すでに、政治的、企業的に、変革ができる時期は過ぎてしまいました。これには、スピードが必要だったのです。

幸い、市民レベルでの気づきが、遅ればせながら、始まっています。
世界的にも、古い社会の仕組みへの訴えかけが起きていますので、波に乗っていければいいですね。

飽きっぽい日本人の民族性、ではありますが、さすがに今度ばかりは、この放射能汚染を見逃すことはできないはずです。
が、残念なことに、原子力発電に関しては、こんなことがあってすらまだ、誘致、再稼動をしようとする土地があり人々がいます。さらには、輸出をやめようとしていません。

いつまでも、なあなあ主義、今さえ良ければ、自分さえ良ければ、を通していきますと、また、同じことが起こります。
そのときは、もう、取り返しがつかないでしょう。

政治家も、大企業も、今の生活を守ることに必死です。
同時に、あらゆる社会の人々が、なぜ新しい扉を開こうとしないか、政治や行政、社会の仕組みに対して立ち上がることに躊躇するのでしょう。それは、失うものがあると思うから、便利な生活を失いたくないから、勇気を出すことができないのです。あるいは他人任せにしているのです。

家やお金や友人や家族や仕事や・・・失うものが何もなくなるまで、私たちは何も行動しないのでしょうか。

無関心を装うことはやめて、本心を意思表示していく人が一人でも多くなることが、変革への道です。

より良い社会を、より高次の世界を、選択していきましょう!

by サリー (2011-10-26 12:24) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。