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『わたしのマトカ』 [書物]

片桐はいり著 幻冬舎文庫

「マトカ」とは、フィンランド語で「旅」を意味するそうです。

こちらの記事を読んでくださっている方々のなかには、ピンときた人もいるかもしれません。

そうです。このエッセイ集は、映画「かもめ食堂」の撮影でフィンランドを訪れていた著者が、そのときの思い出を、縦横無尽に描いているものです。

以前に、「かもめ食堂」主役の小林聡美さんのエッセイを、こちらでご紹介しましたが、そのとき、片桐はいりさんのエッセイが出版されていることを知り、購入したのです。

片桐はいりさんは、見た目もそうですが、とっても個性的な女優さんですよね。
その身体の大きさとは裏腹な感じで(と言っては失礼ですが)、エッセイを読みますと、とっても繊細な女優さんであることが分かります。
エッセイの内容も然ることながら、文章と、その言葉の選択が、非常に丁寧で思慮深いです。
とても知性を感じると、どなたかがおっしゃっていましたが、その通りだと思います。

片桐さんは、このエッセイのなかで、フィンランドの旅を描きながら、これまで訪れた様々な国でのことをも回想して描いてくれています。面白おかしく。

「かもめ食堂」のなかのミドリ、片桐さん演じるこのミドリと片桐さんの性質が重なります。
実際の片桐さんは、旅に出る前に、旅先のことをじっくりと調べてから旅立つらしいのですが、この撮影では、フィンランドのことをほとんどわからないまま来てしまった、とのこと。それがまた、ミドリと重なるのです。
サチエ(小林聡美さん)と出会ってからの好奇心旺盛な様子もまた、片桐さんそのものです。

女優さんにもいろいろなタイプがあるでしょうが、旅のしかたが、度胸がすわっていると言いますか、ひとりでどこへでも行ってしまうタイプみたいですね。それと、地元の珍しい食べ物をなんでもしっかりと食べる。
そして、女優の仕事のしかたが、何と言いますか、ああ、本当にたくましいなあ、女優はこうでなきゃ、という感じを受けました。考え深く、堂々とした仕事ぶりです。
わがままでなんたらかんたら、と、そういった大女優さんもいらっしゃるのでしょうが、片桐さんのお仕事のしかたは「役者魂」を感じさせるものです。

そんな片桐はいりワールドが、びっしりと詰まった、エッセイです。
「かもめ食堂」を見てから読むと、さらに楽しめること間違いなし。先に読むと、映画が見たくなるかもしれません。

すっごく自由な人なのかぁ。
そして、人生も仕事も楽しんでいる。
演技にはこだわりもある本気の役者、女優。

グアテマラにいる弟さんを訪ねっていった話もちらとでてきますが、そういう弟さんの存在もまた、興味深いですね。
ずいぶん前に、行方不明だった弟がグアテマラにいることが分かったとかなんとか、そんな話を「笑っていいとも」で聞いたことがありました。
「グアテマラの弟」というエッセイも出版されているようなので、読んでみようっと。おっけ~。

マトカは、フィンランド語で「旅」。良い響きですね。
キートスは「ありがとう」
「かもめ食堂」には出演されていませんが、「すいか」「めがね」などでおなじみの市川実日子さんの所属事務所は、スールキートス(どうもありがとう)です。
う~ん、なるほど。そういうつながりかぁ。



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